ホームページのターゲットを明確にする

ホームページを作る際、どうしても「どんな色、使おうかなぁ」とか「写真、動かしちゃおうかなぁ」と見た目のイメージ先行でホームページのことを考えがちですが、人に来てもらうには、「誰に?」ということを考えるって大事ですよね。今回は「じゃ、それはダレに読んでもらう?」ということを記しておきますね。

「誰に見てもらいたいのか」を考える

ホームページに限らず、チラシでも、プレゼンでも、「誰に見てもらうのか?」を考えることは、とっても大切です。例えばプレゼンは、「事業パートナーと出会うため」「融資を獲得するため」「商品・サービスを広くお知らせするため」と、目的は様々。目的によって話す内容も、違ってきます。

一般消費者が多くいる会場で、「これこれの事業をするので、それには、これだけのお金が必要で・・・」なんてプレゼンをされたら、ステキな商品を見せられても、なんだかちょっと不安です。

「誰に見てもらうのか?」を考えたら、発信する情報も、自然と方向が決まってブレません。

その人に伝わるように、と盛り込む内容や表現方法も決まっていきます。「誰に」というのは、具体的になればなるほど良いです。あれもこれもと、情報が盛りだくさんになって内容がぼやけることを防ぐ効果がありますよ。人間の脳は、一度にたくさんの情報を処理するのに時間がかかるので、よっぽど有名なものや会社の情報でない限りは、興味がなければ「やーめた!」と、情報処理の途中で、よそへ移っていってしまいます。

発信する情報を受け取る相手は誰なのか、を明確にすること。

これが「人にみてもらう」ために必要な、最初の準備です。

ターゲットにあわせて発信する情報を選択する

情報発信する側の「独りよがり」になってしまわないためにも、相手のことを、ひたすら妄想していくことはやっぱり大切です。そのうえで、ホームページの中で「一番伝えたいこと」を土台にして、文章を綴っていったら良いです。

新築マンションの公式サイトって見たことあります?

ドーンと外観や共有スペースの写真があったり、モデルルームのギャラリーがあって「わぁ、こんなところに住みたいなぁ」と思わされます。

マンション選びのポイントに、建物の安全性をあげる人は、たくさんいるので、その情報は欠かせません。大きな地震等の天災に対してどうなのか、防犯面はどうなのかなどの構造に関する情報も説明してあります。

でも、お気づきでしょうか?

ホームページ全体の中で、それらの情報はわりと少なめ。「周辺環境」とか「アクセス」とか「設備」など、日常の生活の中で知りたい情報が、ガッツリと写真付きでたくさん掲載されています。

だって、新築マンションの公式サイトを訪問する人のほとんどは「マンション、欲しいなぁ」という人で、さらにそのほとんどが「一般の人」だからです。

一般の人に対して、マンションの構造についてその業界では一般的であろう専門用語を使って、紹介文を載せたところで「マンション、欲しいなぁ」という一般の人からすると「ふーん、なるほどぉ」ぐらいなもので「うわっ!欲しいっ!!」とココロ揺さぶられるまでには、なりません。

なぜなら、そもそも専門用語は理解しづらいし、実体験としてのイメージも浮かびづらいからです。ホームページなどで発信する側からの「伝えたいこと」「知ってもらいたい大事なこと」はもちろん、大切。ただ、それを読む人がわかるような言葉を使って表現する、ということがそれ以上に大切。「わかる言葉」というのは、その言葉を使った時に相手とアナタが同じこと(もの)を想像できているということ、です。

載せる情報は、どう判断していく?

『ホームページでもチラシでも何でも、誰に伝えたいのか考えることは大切!』と叫んでおりました。

例えば、働く女性向けの新製品「画期的な楽々ピンヒールのパンプス」をアピールするのに、その靴の写真の横に、マッチョな男性の写真も載っていて「コイツを履くと、後ろ姿もキマる上に、一日歩き回ったって疲れないんだぜ。試してみな!」とか書いてあると、ちょっと引いちゃうかもしれません。(例えが、極端ですが)

でも、女性の写真と一緒に「走れるピンヒール!夕方になっても疲れない」と、同じ目線で書いてあると「そうそう、それそれー!ピンヒールは、結局、しんどいのよー」と共感を得られて、課題を解決してくれそうな商品・サービスには、関心を持ってくれます。

では、売り手側が伝えたい情報は、どう載せていったらいいでしょう?これは、さっきの「画期的な楽々ピンヒールのパンプス」の例のところにすでに半分答えが出ちゃいましたね。

使ってくれる相手、つまり「誰に伝えたいのか」を絞って考えた、その「誰」にあたる人の「立場」になって考えて判断してくことが、大切です。

「ピンヒールなのに、楽々なパンプス」を探している人は、男性が「試してみな!」と勧めているパンプスを探しているのか?ということです。使ってもらいたい人は、どんなことに困っていて、どんなメリットがある商品を探しているのか。どんなライフスタイルなのか。掘り下げて掘り下げて考えていくと、その人に共感してもらえるポイントが浮かび上がってきます。

もちろん「これをメインに、バーン!と打ちだしたい」というのは大切。それでも、ただ「これをアピールしたい!」という売り手側の「思い」だけで載せてしまっては、自己満足で終わってしまいます。使ってくれる相手にとっては、どういうものなのか、使ってくれる人の「立場」になって考えていけば、ちゃんと、使う相手のかゆい所に手が届くサービスとして、打ち出すことができます。

伝えたい相手が、その情報に触れたときに、どう考えるか、どう行動するかまでを、深掘りして想像していくと、載せたい情報も整理されていきますよ。

幅広くニーズがある商品・サービスでも、ターゲットは絞るの?

「ターゲットを決める」ときに、「ターゲットを絞りましょう!」って耳にしたことありませんか?ただ「女性客にアピールしたい」というのでなく、「30歳代前半の女性客」・・・いやいや「32歳女性・独身」と絞ったほうがいい、とか。

「愛知県出身、大阪府豊中市で一人住まいの32歳の独身女性、大阪市内へ通勤する会社員。週に2日は友人と食事をするが、それ以外は自宅で料理。ジムにも通い健康には気を配っている。新聞は読まない、テレビのニュースやネットで情報を得る。好きな雑誌は・・・・」と、「その人」を思い浮かべられるほど絞れ、とか。

「ターゲットを絞る」ということがそんなに重要なの?と思われる方のために、今日は簡単に事例を使って説明します。

「なぜターゲットを絞るのか?」について以下の項目で見ていきます。

  • 幅広いターゲット設定で起こること
  • ターゲットを絞りまくっても大丈夫な理由
  • 母の日に売れるのは、カーネーションだけじゃない

<事例>ターゲットを絞ってみよう

アクセサリーを取り扱うショップを例に、考えていきます。

ペンダント発売ダミー写真
アクセサリーショップ『ネクスト屋』は、新しいペンダントを売りだすことに。4センチ×2.5センチの細長いシルバーのヘッドのペンダント。ご希望に合わせて、シルバーのヘッド部分に
文字を刻印することができます。

さて、この「ネクスト屋」店長はこの新商品をホームページでバシッとアピールしていくことにして、「ターゲットをどうしようか」と考えます。

パソコンで作業する男性

「う~ん、シルバーだし20代の若い子が買うかなぁ。でも本当は、30代の女性にさらっとつけてもらいたいんだよなぁ。いやいや待てよ?文字を入れられるから、意外と年配の方がいざという時の連絡先なんかを入れてもいいかな~」

シンプルなシルバーのペンダントなので、性別も年齢も問わず誰にでも似合いそうだし、「オリジナルで文字を刻印できる」というのは、どの年代にもニーズがありそうです。
そこで、「ネクスト屋」店長は、

笑みを浮かべる男性

「よし!これは20代~30代の女性と、70代以降の男女向けにアピールだ!」とターゲットを設定しました。

これをホームページの「新商品発売!」というページでPRしていきます。
どんなことが起こるでしょう?

幅広いターゲット設定で起こること

「ネクスト屋」店長は、悩んでいます。

パソコン業務で悩む男性

「うーん、幅広くニーズのある商品を、どうやって伝えたらいいかなぁ」

20代の若者には「NYで根強い人気!カジュアル・スタイルにピッタリのシルバー・ペンダント。イニシャルや彼氏との記念の日を刻印することもできます」と、トレンド感も出しながら「大切なもの」となるとアピールしたい。

30代の女性には「オトナの女性がシルバーをあえて選べば、サラッとこなれ感がプラスされます。貴女のメモリアル・デーを刻んでも♪」と、バリバリ頑張る女性がふと肩の力を抜ける時に使えるようなイメージ。「彼氏との」ではなく「アナタの」と、主人公は「誰でもないワタシ」・・・って感じ。

70代以降の人には「お名前や連絡先を刻印できます。いざというときに頼れるアクセサリー」と、とにかく機能をしっかり訴えたい。

文字だけを見ると、そんなにわからないかもしれないのですが、「カジュアルスタイルの20代」「頑張るオトナの30代女性」「機能性重視の70代以降」と、訴える対象によって全体のデザインも変わってくるような気がしませんか?

もちろん、どれも一緒にPRすることは可能です。でも、まとまりがなく、なんとなく全体がぼやけてしまうような気がします。

「ターゲットを思い切って絞ってしまう」ということ。日々その店のお客さんと接していて、その商品・サービスを扱う店長やスタッフなら、思い切ってターゲットを絞ることがきっとできるはずです。

ターゲットを絞りまくっても大丈夫な理由

パソコン業務で悩む男性

「いやぁ、やっぱり不安だなぁ。だって、せっかく幅広い層にアピールできる商品なのに」とネクスト屋の店長はまだ悩んでいます。

では、ここで質問です。「みんな聞いて~!ボクは、キミたちのことが好きなんだー。ボクは、キミにも合うでしょ?キミにだって合わせられるし、キミとだって相性はぴったりだよね~」と言うAくん。「ボクは、キミが好きなんだ」と言うBくん。アナタはどちらを選びますか?

・・・と、ちょっと例えが極端だったでしょうか(笑)。でも、やっぱりこういうことなんですよね。

「あなたにも、アナタにも、お隣のあなたにもぴったりですよ」といっている商品案内と、「仕事を頑張っているアナタが、オフの日に寛ぎながらもちゃんとオシャレできるスタイルを提案します」といっている商品案内があったら、「あら、ワタシのことだ♪」と似たような商品のなかから選んでもらえるのは、後者。

「あなたにも、あなたにも・・・」は、誰のココロにも刺さりません。

ターゲットが絞られているほど「一人」のことがアタマに浮かびます。商品・サービスをPRする文章を書く時には、その「一人」に向かって、その人が求めている情報を発信していけばいいのです。

だからこそ、ターゲットは絞りに絞ったほうが、イイんですよ。

「そんなにターゲットを絞ったら、ターゲット以外の客層から買ってもらえないんじゃ・・」と心配しなくて大丈夫。

絞ったターゲット層から波及していくようにしておけばいいのです。SNSで情報が拡散していくようにしたり、ターゲット層が他のターゲットへプレゼントできるような提案をしておいたり、関連商品を掲載したり。

それに、こちらが想像するよりもずっと、市場にいる「あてはまるターゲット」は多いですよ。

母の日に売れるのは、カーネーションだけじゃない

この記事を書こうと思ったとき、「母の日」直前でした。それでふと、「花屋さんって、母の日にはカーネーションだけがバンバン売れるのかな?」と思って、お世話になっている花屋さんに質問してみました。

「母の日用ギフトとしては、バラやアジサイもよく売れます」とのこと。

母の日ギフトに選ぶバラ

バラは年中ありますが、本来は今が旬なので種類も多いのだそうです。アジサイも、母の日前に鉢物がたくさん出るそうなので、母の日ギフトとして贈られる方が多いんですって。

「母の日に花を贈ろうと思っている人」向けに「ギフト商品」をきちんと打ち出す。「ほかにこんな花もありますよ」と選択肢を用意しておく。

「ターゲット」という話からは少しズレるようにも見えますが、メイン以外の商品もちゃんと売上を伸ばしているという事例は、「ターゲット層以外へも波及していく仕掛け」のひとつとして参考になります。

「アナタもキミも、みーんなにピッタリだよ~」ではなく
「キミに選ばれたいんだ」とバシッとキメるのが、モテ男くんへの近道ですよ!